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2005年8月号  page1  page2


「『ソデの下』より『神の下(もと)』」

 「八万キヤット出せば、行けるんだぞ」
 ウィン・トー兄がそう言われたのは金曜日でした。彼はバンコクで行なわれるAFMC(アジア・フロンティア・ミッション・カンファレンス)に招かれていて、既に次の木曜日のヤンゴン発バンコク行きの便も予約してありました。彼は神さまがこの機会を与えて下さったのだと信じていました。しかし今、現実のジレンマに直面してしまったのです。
 ミャンマーを出国する前に、借金などをしていないことの証明書にサインをもらわなければなりません。ウィン・トー兄の前に座っている出入国管理局の担当官は、そのサインの見返りに八万キヤットの賄賂を要求してきたのです。これは八ヶ月分の賃金に相当する額です。払わないならばバスで十六時間かけて、彼の家があるマンダレーまで戻らなければなりません。マンダレーまで戻り、そこの役所でサインをもらってまたヤンゴンまで戻ってくる‥‥そんな時間があるだろうか?木曜日の朝のフライトに間に合うだろうか?
 「おい、何してるんだ。お前もわかってるだろう?お前の外国人の友人達に頼めばそのくらい出してくれるんだろ?それを俺によこせばいい。そうしたら面倒なことは一切なくなるんだぞ。」
 しかし、ウィン・トー兄は首を横に振りました。
 「それは外国人のお金じゃない、神様のお金なんです。あなたの要求は間違ってる。マンダレーに帰ってサインをもらってきます。」
 ウィン・トー兄は書類を取ると事務所を出ました。その晩、彼はマンダレー行きの夜行バスに飛び乗り、月曜日の朝、マンダレーの政府機関事務所が開くやいなや、書類を手に事務所に飛び込みました。
 しかしそこで言われた言葉に彼は耳を疑いました。この事務所でその証明書にサインできる者はいない、というのです。
 「証明書にサインできる担当官は今日は事務所にいないんだ。私がサインしてあげるわけにもいかない。その担当官だけしかその書類にサインはできないんだ。」
 彼は突然木曜日がひどく目前に迫ったように感じました。バンコクへ行ける可能性がとても薄くなってしまったのです。愕然としたウィン・トー兄は途方にくれたまま、重い足どりで事務所を出ました。
 しかし、のろのろとバイクで帰り道を行きながら、彼はこう考えたのです。もし彼がバンコクへ行くことが神様のみ心なら、サタンがどんなに妨害しても、必ず行けるはずだ。
 彼はもと来た道を引き返し、再び事務所に向かってバイクを走らせました。また姿を見せた彼に、さきほどの事務官は繰り返しました。
 「言っただろう?私がサインするわけにはいかないんだ。越権行為になってしまうんだよ。上司が認めてくれるかどうかもわからない。今上司はここにいないんだし‥‥。」
 ウィン・トー兄は、クリスチャンの会議に出席するだけで、タイ国には二週間しか滞在しないこと、既にパスポートも往復のフライトの切符もここにあること、自分の家族はマンダレーに住んでいるのだから、当然自分は帰って来るつもりなのだということを、再び説明しました 。
 すると嬉しいことに、彼の話を聞き終えた事務官は不承不承ながらペンを取り、証明書にサインをしてくれたではありませんか。
 「本当はこんなことをしちゃまずいんだが‥‥。」
 彼は困惑したように言いました。
 「実際なんでこんなことをしてるんだか、自分でもよくわからん。あとで面倒なことになるかもしれんし、私が免職になっちまうかもしれないんだからな。おい、お前は全く運がいいんだぞ。」
 「これは運じゃないんですよ。」
 ウィン・トー兄は微笑みました。
 「これは神様のお働きなんです。神様は不可能なことも可能にして下さるんです!」
 彼はていねいに事務官にお礼を言って、大事な書類を手に事務所を出て行きました。
 そして再びバスに十八時間揺られ、ヤンゴンに戻ったウィン・トー兄はそのまま出入国管理局に直行しました。そこで全ての手続きは完了し、出国に関する問題が全て、神様によって解決したのです!
 バンコクでの会議は豊かな祝福に満ち、ウィン・トー兄の期待をはるかに超えたものでした。その会議中に、彼は祖国ミャンマーのビルマ人仏教徒の人々―キリストをまだ救い主として知らない三千百万人もの人々―のために祈り始めるようにと、重荷を与えられたのです。ビルマ族はウィン・トー兄の属する部族とは歴史的に敵対関係にあります。しかし今、彼は自分のライフワークがどこにあるかを示されたのです。 サタンがあらゆる手を尽くし、彼が会議に出席するのを阻もうとしたのも無理ないではありませんか!


「他団体日本人宣教師との心の交流」
一時帰国中 佐味湖幸

暑中お見舞い申し上げます  最近、他団体の日本人宣教師の言葉に励まされたり、うなずいたりしたことが幾つかあった。
 デピュテーション中のベテラン宣教師の証。「『この町には、わたしの民がたくさんいるから』の御言葉の約束を信じ、開拓伝道に励みました。」主の約束を信じきる人の幸いと強さを教えられ、大いに励まされた。かなりハードな一時帰国中のスケジュールに「先生、休暇が取れないのではないですか?」と質問すると、「日本では休むことが難しいので、向こう(宣教地)に帰ってから、休みます。」とのこと、なるほど‥‥納得。
 「日本に帰るとほっとするけど、こちら(宣教地)に戻るとこの人たちが無性にいとおしくって‥‥」とニュースレターに追伸で書いてこられた友人。わかります、その気持ち。停電も断水もなく、すべてが便利で清潔でスムーズな日本。おいしい刺身を食べれば、「ああ、日本人でよかった」なんて思うのですが、一方いつの間にか、遣わされた土地にしっかりと根付き、愛着がわき、自分のアイデンティティーなるものも、いったいどこにあるのか、わからなくなるほど、土地の人を愛し、一体化していく私たち宣教師。どんどん変な日本人化が進みます。
 ジーンと心にきたのは、「そこにいてくださってありがとう。先生の存在に励まされています。」との昔の教え子からの電子メール。私が非常勤講師として音楽を教えていた頃は、かわいい中学一年生だった彼女。今は立派に宣教師として、単身遠いアフリカの地で頑張っている。
 頻繁に交流があるわけではなくとも、お互い主に支えられ、かの地で宣教の業に励んでいる姿に励まされる。たまに団体を超えて日本帰国中の宣教師が、修養会などをもち、交流するというのもいいかもしれませんね。

【祈りの課題】
1.ピリ聖書教会はタパオ牧師の辞任により無牧となりましたが、長老たちを中心に励んでいます。地域開発委員会もそれぞれのプロジェクトが支えられ、順調に進められているようです。続いてお祈りください。
2.帰国中の宣教師のデピュテーションが用いられ、日本の教会にさらに世界宣教の幻が分かたれていくように。帰国中宣教師たちが霊肉ともにリフレッシュされ、力を得て、再び遣わされていく用意が出来るように。


「長くいると埃がたまる?」
カンボジア プノンペン 菅家庄一郎、容子

庭のマンゴーの木につけたブランコで:芽生と結  最近、あることを通して、私達が第三期に帰国してからどれほどストレスの多い生活になっていたか改めて知らされる経験をしました。十一月に帰国してから六週間ふさわしい家が見つからずOMF本部で過ごさざるを得なかったこと、学生伝道チームの主要メンバーが次々帰国するなか、日本からのゲストや新しい短期宣教師が共に住むようになったこと、芽生と結が学校になじまない日々が続いたこと、などでした。そういう中で、夫婦のコミニュケーションや生活パターンが崩れてしまい、自分たちでも気がつかないうちに回りの人々にも悪影響を与えてしまっていたようです。
 静まっていて気がつかされたことは、長く宣教師をしているという事実をどこかで誇っているということでした。十年間という月日は他国の宣教師から比べれば短いですが、一九八〇年以降宣教師が入国可能になったカンボジアでは、十年でも「長い」と言われることが多くなりました。ピリピ三章で、パウロは自分の人間的なキャリアをキリストのゆえに損と思うようになった、と述べています。私のように何も誇るものがないものは、長くいるということですら、誇りにしてしまうのだな、と思いました。ここまで主が守ってくださったことを感謝して、神様からも、新人宣教師からも常に学び続ける謙虚な宣教師として歩めるようにお祈りください。(庄一郎)
結と学校のお友達  先日のOMF祈祷会で、カンボジアきってのベテラン宣教師、アリスさんがこんな分かち合いをしてくださいました。「私はなぜカンボジアにいるのか?恐らく母国では学び得なかったことを、主は私にこの地で学ばせたかったのでしょう。」その後の聖書研究の時、カンボジアの教会の最大課題、一致を阻むものは何か、という話し合いでは、傲慢、恐れ、猜疑心、意思疎通の薄さ、等が挙げられました。ポルポト時代に、家庭を破壊され、お互いに裏切りあわざるをえない状況に追い込まれた背景をもつこの国の人々が、信頼関係を回復し、一致を保っていくのは、時間のかかることに違いありません。自分自身を振り返る時、このカンボジアの地で、主が私に教えてくださっておられることは、自分自身の罪の現実とそこに与えられる主の恵みの深さだ、と思わせられます。そこから他の人を自分より優れた者として、尊敬する思いが育ちます。これらは皆、時間のかかるレッスンであり、砕かれ、聖霊により変えられることなしにはありえないことです。「恵みの賜物によって、この福音に仕える者とされた(エペソ三・七)」ことを感謝し、主を恐れつつ救いの完成者なる主イエスを喜んで御霊の一致を熱心に保つことができますようお祈り下さい。(容子)

【祈りの課題】
1.キャンプに来たクリスチャン学生の中から、自主的に聖書研究をリードしたり、犠牲を払って伝道する者が起こされますように。
2.芽生と結を正しく愛し、励まし、訓戒する知恵と力が与えられますように。また、2人がはっきりと信仰告白をすることができるように。


「働きが祝福されても気を抜くな」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ

6月11日、チェンマイで結婚式  六月に、チェンマイ日本語キリスト教会のカップルが結婚式を挙げました。私たち夫婦は二〇〇一年四月からチェンマイに住み、日本語教会、パヤップ大学大学院言語学部の学生を中心とする有澤宅金曜会、そしてチェンマイ・ミェン宣教教会に関って来ていますが、そのメンバー一同がこの結婚式に総出演しました。それは、新郎が日本語教会の中心メンバーで、パヤップ大学国際大学部の学生で金曜会の常連であり、さらにミェン宣教教会の若者たちに英語を教えていることによります。
 金曜会は「是非、私たちでウェディング・ケーキを」と、ミェン宣教教会は「お花を」と申し出ました。特別賛美を依頼された私は、列席者が日本人・タイ人・英語圏の人達と聞いて、「日本語のところは私が歌うから、皆協力して英語とタイ語で歌って助けて!」と全員を巻き込み、かくしてインターナショナル・コワイア(聖歌隊)の誕生です。準備の段階から式当日まで、皆喜んで仕えました。美しく飾られた花は式場を華やかにし、手作りの特大級のケーキは早々に売り切れ、コワイアはコワイなァと緊張すれど「父の(なる)神の真実は‥‥」を喜々として歌い捧げました。(たまみ) 
 結婚式当日、司式者であるはずの私は札幌にいました。母が急性心筋梗塞で倒れ、急遽一時帰国をしていました。土壇場で野尻先生ご夫妻にすべてを引き継ぐことができ、日本語教会に専任牧師が与えられたことを再度感謝しました。学生達が「あとは自分たちでできます。早くお母さんの所へ行ってあげてください」と結束したことも励ましでした。
 多くの方々にお祈りいただき、母は二回のカテーテル処置の後、快方に向かっていることを感謝しております。 この背後に何があるか、その後タイからの知らせを受けて理解しました。母が倒れた日、別の宣教師の母上も同じく心臓発作で倒れそのまま亡くなり、急遽帰国。前後してある国で働く人は国外追放となり、別の国では多数の個人情報が入ったコンピューターが、またある国ではパスポートが盗まれる。四月に紛失したと思った私たちのパスポートも実は盗難であった可能性が出てきました。チェンマイのOMF事務所に泥棒が入りお金が盗まれました。何とか宣教の業を阻害しようとする霊的な戦いが挑まれている現状です。(達朗)

【祈りの課題】
1.達朗師の母上が病気を通してイエス様に近づかれますように。たまみ師の高齢のご両親の救いのためにもお祈りください。
2.宣教の働きもクリスチャン生活も霊的な戦いであることを覚え、目を覚まし、宣教師と支援者の方々が祈りで結ばれて働きを進めることができるように。


「は?という時に主ご自身を信頼する」
カンボジア・プノンペン  今村裕三、ひとみ

訪問にて、若い家族とともに  先日、歯を食いしばって勉強しすぎたせいか?奥歯にヒビが入ってしまいました。同僚の歯科医師とその友人に診てもらいましたが、半壊といった様子でいずれは抜かなくてはならないそうです。そのあとに入れ歯のような処置をする必要があり、カンボジアでは治療できないので、どこかで治療することになりそうです。今のところ、セメントを入れて応急処置をしていますが、第一期が終了する二年半後までは持たないそうです。痛みは強くありませんが、疲れると痛みが出てきます。また、患側ではあまり噛めません。日本を出る前に四年間歯医者の世話にならないように注意深く治療を受けてきたのですが、残念です。ちょっとした出来事でしたが精神的にもヒビいてしまい、人間的な知恵で何とか経済的にも時間的にもうまく解決しようと、もがきましたが、主の最善のくすしき御業に期待し、それまでの奉仕が守られるように、ようやくゆだねることができました。お祈りの援護を感謝します。
 学生寮での学びは守られて六人中五人が入門クラスを終了することができました。この五人ともに主を信じたいと言います。入門クラスの次は確証の学びに入ります。学びの時間が終わる度に、緊張が過ぎ去りホッとしますが申し訳なさと反省がそのあと押し寄せてきます。流暢に出てこないクメール語に憤り落ち込みますが、私の言葉ではなく聖霊様の働きによって彼らが明確な信仰を持ち、イエス様を愛し忠実な弟子に成長できますようにお祈り下さい。(裕三)
 去年の七月号に紹介したSさん(二十歳)のその後です。過去に水商売をしていたので、エイズをとても心配をしていました。その後、血液検査を受けたのですが、結果が出るまでの間に妊娠・結婚します。結果が陰性でほっと一息つき、元気な男の子が生まれます。しかし、夫は定職が無く収入は不安定、家はスラム街の掘っ立て小屋。床下はドブでハエがブンブン飛んでいます。家族計画の相談にも乗り、薬を飲んでいたのですが‥‥忘れ‥‥二人目を妊娠!(第一子はまだ八ヶ月)その頃からSさんはよく酔っぱらい、夫婦喧嘩も絶えません。「どうして飲むの?」と聞くと、「お腹がすくから」との事。飲酒が与える悪影響を説明し‥‥本人は止めると言いました。一ヶ月後再び訪問すると、あっけらかんと「お腹の子供は下ろした。薬を飲んで血がいっぱい出て、腰を押してもらった。」と言います。私たちは「は?」という思いでした。
 そして、彼女と一緒に住んでいる占い師のおばさんは「オシッコが黒かった。お腹が膨らんできた。頭が痛い!」と不安げに訴えています。よく聞くと医者には行ったものの、薬がおっかなくて飲めていないとのこと。薬の飲み方、内容を説明しました。
 福音は聞いているので「イエス様信じている?天国行ける?」と問うと「信じている、でも他の神様も捨てられない」と言います。一緒に祈り、「本当の神様は一人だけだよ。夫が何人もいたら本当に一人の人を愛していない事と同じよ。」などと話し、帰りました。人の心を本当に開くことが出来るのは神様だけです。諦めずに祈り、神様の愛を伝えることが出来るよう、またこの家族の救いのためにお祈り下さい。(ひとみ)

【祈りの課題】
1.健康が支えられるように。現在、週に半日の休暇しか取れていません。奉仕に集中できるように睡眠や休息などを賢くとることができるようにお祈り下さい。主との交わりが祝福されるように。
2.Sさん家族の救いのために。Sさんのおばさんが偶像から離れることができるように。

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